国際公募第17回国際墨画会展
渋谷にメインのお教室を設けている「国際墨画会」の国際公募展が、今年も六本木の国立新美術館にて開催されました。
書道と同時期に始めた水墨画ですが、こちらのお教室に通い始めて4年目、今年3度目の出品をさせて頂きました。

http://sumi-e.or.jp/infomation/2017/06/29/%e7%ac%ac%ef%bc%91%ef%bc%97%e5%9b%9e%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%85%ac%e5%8b%9f%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%a2%a8%e7%94%bb%e4%bc%9a%e5%b1%95%e3%82%92%e7%b5%82%e3%81%88%e3%81%a6/
会期は6月14日から26日までの約2週間。来場者は合計で1万人を超え、毎日2回(週末は3回)開催されるワークショップの参加者も、見学を含めると1000人を超える盛況ぶりでした。

ワークショップは1回45分間で、竹の描き方をレクチャーします。参加者の皆さんにも描いてもらい、最後は落款を押して作品として仕上げてお持ち帰り頂いています。参加は無料ということもあり、大変人気があり、水墨画が初めてという方が多いですが、毎年このワークショップを楽しみに参加されている方も大勢いらっしゃいます。また、外国人の参加もとても多く、回によっては参加者のほとんどが外国人ということもあります。

講師は、国際墨画会の講師資格者が担当します。展覧会前の授業では、ワークショップ講師としての授業が開催されます。私も今年3度目の講師体験でしたが、毎回シチュエーションが違うので、楽しい反面、何度やっても緊張します。今年担当した回では、昨年も参加されたという方が数名と、初挑戦という方が数名と、韓国とタイからの観光客の方が参加してくれました。
国際墨画展の特徴は、様々な国からの出品があることです。中国、台湾、マレーシア、オーストラりア、イギリス、アフリカ等々、色彩も豊かでバラエティーに富んでいます。また国際公募なので、誰でも応募することができます。今年は中国の西安からの応募者が受賞し、レセプションに参加するためにご夫婦で来日されていました。


余談ですが、こちらは同時期に開催されていた公募展のポスターです。

いつも思うのですが、書道や絵画の公募展のポスターは日本語の文字しか書いていないものがほとんどなので、特に国立新美術館は海外の来場者がとても多い美術館ですし、海外の方が見ても何の展覧会なのか分からないのが残念です。国際墨画会展の、特に海外からの来場者が多いのは、ポスター効果もあるのではないでしょうか。
書道と同時期に始めた水墨画ですが、こちらのお教室に通い始めて4年目、今年3度目の出品をさせて頂きました。

http://sumi-e.or.jp/infomation/2017/06/29/%e7%ac%ac%ef%bc%91%ef%bc%97%e5%9b%9e%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%85%ac%e5%8b%9f%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%a2%a8%e7%94%bb%e4%bc%9a%e5%b1%95%e3%82%92%e7%b5%82%e3%81%88%e3%81%a6/
会期は6月14日から26日までの約2週間。来場者は合計で1万人を超え、毎日2回(週末は3回)開催されるワークショップの参加者も、見学を含めると1000人を超える盛況ぶりでした。

ワークショップは1回45分間で、竹の描き方をレクチャーします。参加者の皆さんにも描いてもらい、最後は落款を押して作品として仕上げてお持ち帰り頂いています。参加は無料ということもあり、大変人気があり、水墨画が初めてという方が多いですが、毎年このワークショップを楽しみに参加されている方も大勢いらっしゃいます。また、外国人の参加もとても多く、回によっては参加者のほとんどが外国人ということもあります。

講師は、国際墨画会の講師資格者が担当します。展覧会前の授業では、ワークショップ講師としての授業が開催されます。私も今年3度目の講師体験でしたが、毎回シチュエーションが違うので、楽しい反面、何度やっても緊張します。今年担当した回では、昨年も参加されたという方が数名と、初挑戦という方が数名と、韓国とタイからの観光客の方が参加してくれました。
国際墨画展の特徴は、様々な国からの出品があることです。中国、台湾、マレーシア、オーストラりア、イギリス、アフリカ等々、色彩も豊かでバラエティーに富んでいます。また国際公募なので、誰でも応募することができます。今年は中国の西安からの応募者が受賞し、レセプションに参加するためにご夫婦で来日されていました。


余談ですが、こちらは同時期に開催されていた公募展のポスターです。

いつも思うのですが、書道や絵画の公募展のポスターは日本語の文字しか書いていないものがほとんどなので、特に国立新美術館は海外の来場者がとても多い美術館ですし、海外の方が見ても何の展覧会なのか分からないのが残念です。国際墨画会展の、特に海外からの来場者が多いのは、ポスター効果もあるのではないでしょうか。
今年の3分の一
気が付けばもう一年の3分の一が過ぎてしまいました!
時間がすぎるのは本当にあっという間。
書道と水墨画に関しては、しばらくは基礎力をつけるべく修行の時期と決めたので、今年も走ってます。
今年に入ってからの4か月も、色々ありました。
その1:仮名昇段試験4段受験。
課題は2X6尺の画仙紙に任意の和歌1首 + 高野切一種の臨書一枚でした。

和歌は、鎌倉時代の僧、明恵上人の歌を選びました。
~昔みし、道はしげりて跡たえぬ 月の光をふみてこそ入いれ~
(あの時の道は今雑草が茂って、痕跡もなくなってしまった。月の光を踏んで、入ってゆくのだ)
私のかなり勝手な解釈ですが、この歌を見た時、今は消えてしまっている前世の記憶を、闇に浮かぶ光を頼りに辿っていくイメージが浮かびました。儚くも道しるべとなる美しい月の光を表現してみたい!と、思うには思うのですが、技術が追い付かないので、とりあえずは先生のお手本とにらめっこしながら何度も書き直し。〆切ぎりぎりに提出です。
なんとか無事4段合格できました:)
その2:毎日展
毎日展の作品提出〆切が、清和は4月半ばのため、毎年昇段試験の時期と重なります。別々に進めている時間がないので、今年も昇段試験で書いた歌と同じものを書くことになりました。
昇段試験が終わった後の2週間ほどの間に、こちらも何度も書き直し、またまた〆切ぎりぎりに提出です。
その3:山手アトリエ展
大学の時に通っていたアトリエの展覧会が毎年春に開催されます。今年は私の作品も飾って頂く機会に恵まれましたが、新しいのを描いている時間がなかったので少しずるいとは思いましたが(^^;)、昨年清和展に出品した軸の絵の部分をざくざくとハサミで切り取り、額に入れて飾ってもらいました。

その4:水墨画
今月4月、水墨画師範資格を取得することができました:))目標だった2年で講師資格、2年で師範資格が達成できました。
その5:国際墨絵会展
6月に水墨画教室の展覧会が国立新美術館で開催されるので、その作品提出の〆切が今月でした。今年はフクロウと、友だちの子どもと猫の2点を出品しました。
その6:コンサート
オマケですが、今年に入って、ジェフ・ミルズ、スティーブ・ライヒ、ルドヴィコ・エイナウディのコンサートに行くことができました。後世に名を残すような天才作曲家が生きているうちに、本人の演奏で本人の曲を生で聞くことができるのは本当にすごいことだなぁと思います。
今年もあと3分の2、何があるか分かりませんが、息切れしつつも楽しく疾走してみようと思います。
時間がすぎるのは本当にあっという間。
書道と水墨画に関しては、しばらくは基礎力をつけるべく修行の時期と決めたので、今年も走ってます。
今年に入ってからの4か月も、色々ありました。
その1:仮名昇段試験4段受験。
課題は2X6尺の画仙紙に任意の和歌1首 + 高野切一種の臨書一枚でした。

和歌は、鎌倉時代の僧、明恵上人の歌を選びました。
~昔みし、道はしげりて跡たえぬ 月の光をふみてこそ入いれ~
(あの時の道は今雑草が茂って、痕跡もなくなってしまった。月の光を踏んで、入ってゆくのだ)
私のかなり勝手な解釈ですが、この歌を見た時、今は消えてしまっている前世の記憶を、闇に浮かぶ光を頼りに辿っていくイメージが浮かびました。儚くも道しるべとなる美しい月の光を表現してみたい!と、思うには思うのですが、技術が追い付かないので、とりあえずは先生のお手本とにらめっこしながら何度も書き直し。〆切ぎりぎりに提出です。
なんとか無事4段合格できました:)
その2:毎日展
毎日展の作品提出〆切が、清和は4月半ばのため、毎年昇段試験の時期と重なります。別々に進めている時間がないので、今年も昇段試験で書いた歌と同じものを書くことになりました。
昇段試験が終わった後の2週間ほどの間に、こちらも何度も書き直し、またまた〆切ぎりぎりに提出です。
その3:山手アトリエ展
大学の時に通っていたアトリエの展覧会が毎年春に開催されます。今年は私の作品も飾って頂く機会に恵まれましたが、新しいのを描いている時間がなかったので少しずるいとは思いましたが(^^;)、昨年清和展に出品した軸の絵の部分をざくざくとハサミで切り取り、額に入れて飾ってもらいました。

その4:水墨画
今月4月、水墨画師範資格を取得することができました:))目標だった2年で講師資格、2年で師範資格が達成できました。
その5:国際墨絵会展
6月に水墨画教室の展覧会が国立新美術館で開催されるので、その作品提出の〆切が今月でした。今年はフクロウと、友だちの子どもと猫の2点を出品しました。
その6:コンサート
オマケですが、今年に入って、ジェフ・ミルズ、スティーブ・ライヒ、ルドヴィコ・エイナウディのコンサートに行くことができました。後世に名を残すような天才作曲家が生きているうちに、本人の演奏で本人の曲を生で聞くことができるのは本当にすごいことだなぁと思います。
今年もあと3分の2、何があるか分かりませんが、息切れしつつも楽しく疾走してみようと思います。
今年の管理人の成果
2016年もあっという間でした!
4年前に書道を始めてから目標に掲げていた「師範取得」が達成できたことは、今年の大きな成果でした。また、同じく4年前に始めた水墨画の公募展では賞を頂けたことも自分にとっては嬉しい出来事でした。
でも、資格取得や賞の受賞、昇段などは、目に残る成果として自分のやる気をあげるためには役にたちますが、本当に大切なのはその後だなーというのが、一つ階段をのぼってみた感想です。
書道と水墨画を始めて一番思うことは、「時間(そしてお金。。。)が足りない!」ということですが、これから続けていく上で、自分にできることは何だろう?と、模索する年がしばらく続きそうです。
そして、今年は異分野で活躍されている方たちと色々深い話ができたことも大きな成果でした。芸術にとってクロスカルチャーはとても意義のあるものだし、作品を作る上でも本当に大切なことだと実感できる年でした。
ブログに遊びに来てくださった皆様、どうもありがとうございました。
来年も皆様にとって良い年でありますように!

(酉年にちなんで、只今制作中のフクロウの絵より)
4年前に書道を始めてから目標に掲げていた「師範取得」が達成できたことは、今年の大きな成果でした。また、同じく4年前に始めた水墨画の公募展では賞を頂けたことも自分にとっては嬉しい出来事でした。
でも、資格取得や賞の受賞、昇段などは、目に残る成果として自分のやる気をあげるためには役にたちますが、本当に大切なのはその後だなーというのが、一つ階段をのぼってみた感想です。
書道と水墨画を始めて一番思うことは、「時間(そしてお金。。。)が足りない!」ということですが、これから続けていく上で、自分にできることは何だろう?と、模索する年がしばらく続きそうです。
そして、今年は異分野で活躍されている方たちと色々深い話ができたことも大きな成果でした。芸術にとってクロスカルチャーはとても意義のあるものだし、作品を作る上でも本当に大切なことだと実感できる年でした。
ブログに遊びに来てくださった皆様、どうもありがとうございました。
来年も皆様にとって良い年でありますように!

(酉年にちなんで、只今制作中のフクロウの絵より)
仙厓とアレシンスキー展
この秋、行きたい展覧会が目白押しで時間を作るのも一苦労。満員電車や交通渋滞でうんざりすることも多いですが、色々な展覧会がそこかしこで開催される季節は、東京にいるメリットを特に享受できるひと時でもあります。
もう終わってしまいましたが、11月13日まで出光美術館で開催されていた「大仙厓展」は楽しみにしていた展覧会の一つでした。

仙厓は「可愛い」禅画として最近とても人気がありますが、この筆のタッチや何気ない線がなんとも言えない温かみのある味を出していて、私ににとっては、究極的にはこういう絵が描けたらいいなと常に思っている大師匠。出光美術館は膨大な仙厓コレクションを所有しているので、度々仙厓展を開催しています。確か前回は2013年でしたが、今後も開催されると思うので、機会があればぜひ仙厓の素朴だけれども人の心を打つ書画をご覧になってみて下さい。
そして、そんな仙厓を師と仰いでいる、ベルギーの現代美術を代表する画家であるピエール・アレシンスキーの展覧会が、12月8日まで渋谷の文化村で開催されています。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_alechinsky/
日本の書にも大きな影響を受けたと言われるアレシンスキーですが、会場には自らが1955年に制作した「日本の書」というドキュメンタリーフィルムが流れていました。篠田桃紅や森田子龍などの書家を映像の残したショートフィルムですが、フランス語のナレーションと、幻想的な現代音楽がバックに流れていて、今までとは全く違う視点から日本の書を眺めているような不思議な感覚になりました。
日本・ベルギー友好150周年を記念した日本初の回顧展ということで、広い会場はアレシンスキーの大作で埋め尽くされていてかなり見応えがあります。

文字や言葉にこだわりが強く、手紙や書類、地図、航海図など、文字のある反故紙を使ってたくさんの作品を制作しています。

展覧会最後の部屋で流れていたアレシンスキーのインタビュー映像も、作品制作風景やアトリエの様子がわかってとても面白かったです。アレシンスキーは中国画宣氏や和紙なども使って作品を制作していますが、キャンバスの上に紙を裏打ちしているところが写されている場面があり、日本では通常水墨画や書道作品は通常表具屋さんにお任せしてしまうので、どうやるのかとても興味が湧きました。
アレシンスキーは89歳を迎える現在でも精力的に作品を発表し続けているとのことで、同じ時代に今も生きている偉大なアーティストの作品を見ることができ、感動もひとしおでした。
もう終わってしまいましたが、11月13日まで出光美術館で開催されていた「大仙厓展」は楽しみにしていた展覧会の一つでした。

仙厓は「可愛い」禅画として最近とても人気がありますが、この筆のタッチや何気ない線がなんとも言えない温かみのある味を出していて、私ににとっては、究極的にはこういう絵が描けたらいいなと常に思っている大師匠。出光美術館は膨大な仙厓コレクションを所有しているので、度々仙厓展を開催しています。確か前回は2013年でしたが、今後も開催されると思うので、機会があればぜひ仙厓の素朴だけれども人の心を打つ書画をご覧になってみて下さい。
そして、そんな仙厓を師と仰いでいる、ベルギーの現代美術を代表する画家であるピエール・アレシンスキーの展覧会が、12月8日まで渋谷の文化村で開催されています。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_alechinsky/
日本の書にも大きな影響を受けたと言われるアレシンスキーですが、会場には自らが1955年に制作した「日本の書」というドキュメンタリーフィルムが流れていました。篠田桃紅や森田子龍などの書家を映像の残したショートフィルムですが、フランス語のナレーションと、幻想的な現代音楽がバックに流れていて、今までとは全く違う視点から日本の書を眺めているような不思議な感覚になりました。
日本・ベルギー友好150周年を記念した日本初の回顧展ということで、広い会場はアレシンスキーの大作で埋め尽くされていてかなり見応えがあります。

文字や言葉にこだわりが強く、手紙や書類、地図、航海図など、文字のある反故紙を使ってたくさんの作品を制作しています。

展覧会最後の部屋で流れていたアレシンスキーのインタビュー映像も、作品制作風景やアトリエの様子がわかってとても面白かったです。アレシンスキーは中国画宣氏や和紙なども使って作品を制作していますが、キャンバスの上に紙を裏打ちしているところが写されている場面があり、日本では通常水墨画や書道作品は通常表具屋さんにお任せしてしまうので、どうやるのかとても興味が湧きました。
アレシンスキーは89歳を迎える現在でも精力的に作品を発表し続けているとのことで、同じ時代に今も生きている偉大なアーティストの作品を見ることができ、感動もひとしおでした。
ポンピドゥー・センター傑作展
上野の東京都美術館にて9月22日まで開催されていた、「ポンピドゥー・センター傑作展」に行ってきました。
1977年、パリに開館したポンピドゥー・センターのコレクションより、1906年から1977年までの作品を1年ごと1作家1作品を紹介するという展示会で、フランス近現代美術の流れが一望できるという内容です。
コンセプトに合わせ、動線もとても工夫されていました。
時代の流れに沿って、会場を効率よく巡ることができます。

各アーティストの名言が作品と共に添えられていたので、言葉と絵を一緒に見ることができるのも楽しかったです。
刺激になる言葉がたくさんありました。
コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)
「呼吸するように創造することができたなら、それは真の幸福でしょう。そこに到達すべきなのです」

そういう境地にいつか到達してみたいものです。。。
書道や水墨画を始めるようになってから、黒が印象的な作品に特に目がいくようになりました。
ジョルジュ・マチューの1954年に制作された作品。
即興で絵の具を撒いて描かれたものです。前衛書の作品と並べて見比べてみたら面白そう。
ジョルジュ・マチューの言葉:
「芸術家は物を基盤としたこの世界の中で、人に基づく世界に再び終点をあてうる最後の者になるだろう」

こちらはロシアの画家、セルジュ・ポリアコフの1952年に制作された作品。
ロシア正教会の十字架をイメージしたものです。静粛な黒が美しいです。
セルジュ・ポリアコフの言葉:
「人はかたちを見るとき、それを聴かなければならない」

シモン・アンタイの1957年に制作された作品。
キャンバスに着色したものの上に黒を重ね、渇ききらないうちに黒を削り取って作られた作品。

オーギュスト・シャポーの1908年に制作された、ムーラン・ド・ラ・ギャレットを描いた作品。
(中でお酒を飲んでいる人たちに混ざりたい!)
オーギュスト・シャポーの言葉:
「芸術作品が成立する根底に欲求や喜びがあるなら、そこにはまた人々の生活との接触、つまり人間的な触れ合いがある」

私の勝手なイメージですが、墨が表現する黒は透明感や瑞々しさが引き立ち、油絵具などを使った洋の芸術が表現する黒はもっと硬質で光の粒子を含んでいるような感じがします。以前友人とペルトの音楽について話していた時、その友人が「闇の世界なんだけど、光り輝く闇」と表現していましたが、その表現がぴったりくるかもしれません。墨は水を使って書/描くものなので、湿度感を含むのは当然といえば当然なのですが、いつか光り輝く闇の世界を墨で表現してみたいなぁと憧れを抱いた展覧会でした。
1977年、パリに開館したポンピドゥー・センターのコレクションより、1906年から1977年までの作品を1年ごと1作家1作品を紹介するという展示会で、フランス近現代美術の流れが一望できるという内容です。
コンセプトに合わせ、動線もとても工夫されていました。
時代の流れに沿って、会場を効率よく巡ることができます。

各アーティストの名言が作品と共に添えられていたので、言葉と絵を一緒に見ることができるのも楽しかったです。
刺激になる言葉がたくさんありました。
コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)
「呼吸するように創造することができたなら、それは真の幸福でしょう。そこに到達すべきなのです」

そういう境地にいつか到達してみたいものです。。。
書道や水墨画を始めるようになってから、黒が印象的な作品に特に目がいくようになりました。
ジョルジュ・マチューの1954年に制作された作品。
即興で絵の具を撒いて描かれたものです。前衛書の作品と並べて見比べてみたら面白そう。
ジョルジュ・マチューの言葉:
「芸術家は物を基盤としたこの世界の中で、人に基づく世界に再び終点をあてうる最後の者になるだろう」

こちらはロシアの画家、セルジュ・ポリアコフの1952年に制作された作品。
ロシア正教会の十字架をイメージしたものです。静粛な黒が美しいです。
セルジュ・ポリアコフの言葉:
「人はかたちを見るとき、それを聴かなければならない」

シモン・アンタイの1957年に制作された作品。
キャンバスに着色したものの上に黒を重ね、渇ききらないうちに黒を削り取って作られた作品。

オーギュスト・シャポーの1908年に制作された、ムーラン・ド・ラ・ギャレットを描いた作品。
(中でお酒を飲んでいる人たちに混ざりたい!)
オーギュスト・シャポーの言葉:
「芸術作品が成立する根底に欲求や喜びがあるなら、そこにはまた人々の生活との接触、つまり人間的な触れ合いがある」

私の勝手なイメージですが、墨が表現する黒は透明感や瑞々しさが引き立ち、油絵具などを使った洋の芸術が表現する黒はもっと硬質で光の粒子を含んでいるような感じがします。以前友人とペルトの音楽について話していた時、その友人が「闇の世界なんだけど、光り輝く闇」と表現していましたが、その表現がぴったりくるかもしれません。墨は水を使って書/描くものなので、湿度感を含むのは当然といえば当然なのですが、いつか光り輝く闇の世界を墨で表現してみたいなぁと憧れを抱いた展覧会でした。