2014-05

バックグラウンドミュージック

書道の練習をする時、いつも音楽を流していますが、最近はまっているのがクラシック専門のTBSインターネットラジオ番組「オッターバ」です。

https://ottava.jp/

この中でも特に「Amoroso」という、林田直樹さんがパーソナリティーを務める番組が好きでよく聞いています。
放送は毎週月曜の4時間ですが、インターネットラジオなのでオンデマンドいつでも好きな時間に聞くことができます。

この番組のすごいところは、選曲が普通の番組ではあり得ないくらいマニアックなところ。クラシック専門と言っても、いわゆる王道の演奏は滅多にかかりません。ルネッサンスやバロックに始まり、普段あまり耳にすることのないイギリスの作曲家、現代音楽、民族音楽など、とにかく選曲の幅が広く、センスも抜群で、本当に楽しい番組です。

第一線で活躍する音楽関係者の方のインタビューも多く、興味深い話をたくさん聞くことができます。

最近の放送で面白かったのが、日本を代表する現代音楽の作曲家、高橋悠治さんがゲストの回。
現代音楽は全く馴染がなかったのですが、この番組を通じて興味を持つようになりました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%82%A0%E6%B2%BB

「音楽は、分からなきゃいけないというものではない。かえって、分かったつもりになっていればそこで終わり。何だかよく分からない、何だろう?と思っているのが面白い。色々な答えがあるかもしれないし、自分のよみかたが正しいという序列がつくものでもない」という言葉が印象的でした。

こちらは、番組を通じて知ったLa Folle Journeeという音楽祭のイベント。

http://www.lfj.jp/lfj_2014/history/article_01.html?id=footer

LFJbanner

毎年東京国際フォーラムでGWの時期に開催される音楽祭ですが、朝から晩まで、いくつものホールで同時にコンサートが開催されます。無料コンサートも数多く開催されますが、有料のものも、それぞれが1時間ちょっとという比較的短い時間で、チケットの価格も1000円台から購入できるので、気軽に一日中音楽が楽しめるというすてきなイベントです。

【広場で開催中の無料コンサート】
LFJchoir


こちらも、番組を通じて知ったカウンターテナー歌手のフィリップ・ジャルスキー。カウンターテナーは今まで敬遠しがちでしたが、ジャルスキーを聴いた時は、あまりに美しい声に衝撃を受け、その後の東京公演で実際に生の声を聴きに行きました。

http://www.youtube.com/watch?v=Inl7-Fl77lA

この他にも、この番組を通じて知った音楽や音楽家、イベントなどがたくさんあり、今まで知らない音楽の世界が開けました。感性を豊かにしてくれるよい音楽との出会いはすてきな宝物です。

CDs


なかなか集中力が続かない書道の練習も、この番組のおかげでかなりはかどっていたのですが、6月末でオッターバは休止してしまうとのこと……。本当に残念です。有料でもいいので、せめてAmorosoだけでも続けてほしいなぁと思う今日この頃です。

イメージの力展@国立新美術館

「イメージの力」展が、六本木の国立新美術館で6月9日まで開催中です。

http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/power_of_images/index.html

大阪の国立民族学博物館のコレクションから、世界各国の仮面や彫像、衣装、タペストリー、玩具などが展示されています。「イメージの創造とその享受のあり方に人類共通の普遍性はあるのか」という問いをテーマにした面白い企画展です。

イメージの力1

昔からフォークアートやプリミティブアートには興味があったので、民博は大好きな博物館の一つです。東京でもそのコレクションが見られるというので、足を運んできました。

以前大英博物館で開催された「土偶展」を訪れた時や、NYメトロポリタン美術館で膨大な数のオセアニアフォークアートコレクションを見た時も大興奮。自分でも理由は分からないけれども、心に訴えかけてくるエネルギーや、思わずほっこりしてしまう温かさや、言葉ではうまく説明できない何かが呼びかけてきて、この類のアートに出会うと、この企画展のテーマでもある「イメージの普遍性」というものをいつも感じます。

メトロポリタン美術館
Met

今回の展覧会でも、舞踏劇の仮面、神像つきの椅子、精霊の像、ガラスイコン、箱型祭壇など、面白いものがたくさん展示してありました。その中でもぐっとくるものに出会うと、立ち止まってついついスケッチ。

仮面「ムフォン・エクポ」 ナイジェリア。
絶妙な表情に思わずにっこり。
image2

数ある展示物の中で今回私が一番惹かれたのは、日本の「タノカンサー」(田の神様)。
あまり目立たないところに展示してありましたが、何故かタノカンサーを見た時、オセアニアの仮面を見た時と同じくらい大興奮。

タノカンサーの前にうずくまってこっそりスケッチ。
タノカンサー

鹿児島県を中心に、田んぼの畦などに見られる石像とのことで、タノカンサーを見つける旅をしてみたくなりました。
新しいテーマを発見できたような気がして、わくわくできた1日でした。

前衛書

毎年GWの季節に、かな書道作家協会主催の『現代かな書道専門講座』が開催されます。
今年は、講演会テーマの一つが「前衛書」でした。

前衛書は書道展でよく目にしますが、個人的には書というよりも抽象画を鑑賞している感覚になります。「2つの違いは何だろう?」といつも疑問に思っていたので、今回のテーマには興味津々でした。

講師は菅野清峯先生です。
http://geibunkyoukai.iinaa.net/syodousugano.html

前衛書は、戦後生まれた新しい書です。
現在の毎日書道展には、漢字、かな、近代詩文書、大字書、篆刻、刻字、前衛書の7部門がありますが、発足当初の昭和23年には漢字とかなのみだったそうです。
http://www.mainichishodo.org/syodoten/

前衛書について
http://www.mainichishodo.org/gendai/zenei/

前衛書家、森田子龍(1912-1998)は、「書は、文字を書くことを場所として、内のいのちの躍動が外におどり出て形を結んだものである」(『森田子龍と墨美』1992)と言っています。
http://www3.city.toyooka.hyogo.jp/virtual/2%E6%A3%AE%E7%94%B0%E5%AD%90%E9%BE%8D/moritanenpu.html

前回のブログで少しご紹介した近代詩文書は「読める」ことを前提とした新しい書ですが、前衛書は「読めない」新しい書で、それぞれが並存しながら発展しています。

書は、「文字」または「文字的要素」を素材として創造する芸術です。
菅野先生がおっしゃるには、芸術には、

①美が存在する
②創作・創造されたもの
③個性がある

の3つの要素があり、前衛書の特質は、

①白黒の世界を重視
②最も創造の世界を重視
③端的に、集中し、瞬発的に創造するもの

とのことでした。
あまり何が書いてあるかと頭で考えずに作品を感じてほしいとおっしゃっていましたが、レクチャーでは実際に作品を見ながらの説明もありました。

これは「岩」と書いた作品です。

上田桑鳩
岩

こちらは「命」という字をばらばらに書いた作品です。

『MYO』 宇野雪村
命

こちらは「楽」という字が元になっています。

楽

上は文字が基本になった作品ですが、下は特定の文字ではなく「文字的要素」を作品にしたものです。

『心線作品』 比田井南谷 
心線

作品を生み出すには、楷書、行書、草書、隷書、篆刻などの広い分野でとことん古典の勉強をして、線を自由自在に扱えるようにするのが基本だとおっしゃっていました。その上で、造形の勉強もされるとのことでした。

現在では前衛の作品に見えても、漢字部門に出展されていたり、大字部門に出展されていたりすることもあるそうです。
定義は決して絶対的なものではないとお話にありました。

こちらは、「大字」部門として出展された作品。
大字前衛

こちらは「漢字」部門として出展された作品。
漢字前衛


今回の講演を聞いて、前衛書はこれからも時代と共に発展・変化していく可能性を持ったダイナミックな芸術で、作家によって表現方法や目指すところも異なり、抽象画との違いなどを単純に定義できるものではないのだなという感想を持ちました。

追記:
今年、講座は4月29日に神保町の日本教育会館にて開催されました。
講座と同時に、「春敬記念書道文庫」所蔵の国宝級・重要文化財級の古筆が公開され、古筆をケース越しではなく、直に目にすることができます。会費(7000円)を支払い事前申し込みをすれば誰でも参加することができるので、書道に興味のある方にはおすすめです。

かな書道作家協会
〒124-0025 東京都葛飾区西新小岩4-6-9
電話:090-2164-4309

漢字勉強会が開催されました

5月11日(日)、中央区立産業会館にて漢字勉強会が開催されました。
今回のテーマは「行書」で、講師に創玄書道会の佐伯覚明先生と、清和書道会常任理事の高田芳春先生をお迎えました。

はじめに佐伯先生から、詩文の選択、文字数の決定、書体、字典、草稿(小さな用紙に下書きをする)、表現、用具、山場の作り方など、漢字条幅作成のアプローチについて講義がありました。

2014年5月漢字勉強会2

講義の後は、1) 5文字一行書き、 2) 14文字二行書き、 3) 39文字三行書き、3つの課題が出され、各自作品を制作する時間が与えられます。

今回の参加者は30名でしたので、広い会場に30名分の下敷きが敷かれています。
2014年5月漢字勉強会

【佐伯先生の作品】
2014年5月漢字勉強会3

作品制作の後には先生の講評があり、解散となりました。
次回の漢字勉強会テーマは草書です。

清和選抜書展のお知らせ

清和選抜書展が下記の通り開催されますので、銀座にお出かけの機会がありましたらぜひお立ち寄りください。
植村和堂の遺墨と、清和書道会から34名の作品が展示されます。

会期:2014年6月3日(火)~6月8日(日)
    11:00-19:00 (最終日は16:00まで)
会場:鳩居堂画廊3階 (地下鉄銀座駅 A2出口)
    http://www.kyukyodo.co.jp/gallery/
主催:清和書道会
後援:毎日書道会、全日本書道連盟、かな書道作家協会

近代詩文に初チャレンジ

GW期間中、近代詩文書作家としてご活躍の辻元大雲先生(現書道芸術院理事長)が指導して下さる練成会に参加する機会を持つことができました。

http://www3.ocn.ne.jp/~itm/shoukaitai.htm

近代詩文書とは戦後に生み出された新しい書で、近代の詩歌や俳句など現代文を素材にしています。「読める」書であることが親しみやすさを呼び、とても人気のあるジャンルです。毎日展では「近代詩文」、読売展では「調和体」と呼ばれていて、総称で現在は「漢字仮名交じり文」と呼ばれることが多いそうです。

http://www.mainichishodo.org/gendai/kindai/

練成会は1泊2日、合宿施設のある房総半島の民宿にて開催されました。参加者は主に門下生の方々ですが、今回はご厚意によって特別に参加させて頂きました。

会場広間の床にはビニールシートと下敷きがびっしり敷き詰められ、作品がかけられるように洗濯ばさみのついた紐がセッティングされています。

練成会会場

1日目は朝から夜中まで(中には明け方5時まで書いている方もいらっしゃいました!)、翌日は朝から夕方まで、皆さん毎日展出品用の作品制作に没頭されます。膨大な量の作品を制作するため、墨も大量に使います。会場では、自動墨すり器が何台も忙しく動いていました。

墨すり機

辻元先生は本当にエネルギッシュな方で、お弟子さんたちが「多分先生が一番書いている」とおっしゃっていましたが、朝から晩まで、つきっきりでお弟子さんの作品の間を練り歩き、指導をされていました。夜中、浦霞を片手に豪快に指導される姿はかなり粋で、とても印象的でした。

練成会場2

近代詩文とはどんなものかぜひ見学だけでもと思っていたのですが、せっかくなので、私も初チャレンジ。先生にお手本を書いて頂きました。

文部省唱歌『鯉のぼり』
鯉のぼりお手本

「現代文を素材にした新しい書」というだけあり、コブクロの歌や、酒場放浪記で有名な吉田類さんの詞など、皆さんそれぞれにすてきな言葉をのびのびと書かれていました。

練成会の参加者には、学校や書道教室で実際に指導されていたり、書道歴の長い大ベテランの方たちがたくさんいらっしゃいました。「電車の吊り広告を近代詩文書でいっぱいにしてみたら面白いんじゃないか」というお話や、「書はその人の書いた時の気分も表すものだから、楽しい歌や悲しい歌、それぞれの感情に合った書風で文字を書ければ」など、興味深いお話をたくさん伺うことができました。

今回、近代詩文を書いてみて何より強く思ったことは、楷書、行書、草書、仮名など、やはり書道の基本がとても大切だということでした。当たり前のことではありますが、基本ができてこそ、美しかったり、味があったり、自由自在な線が書けるんだと改めて実感しました。

初近代詩文作品。
初近詩

ふわふわに柔らかい羊毛筆を使って書きます。
兼豪筆とかなり書き心地が異なり、とても難しかったです。

もう少し基本をちゃんと勉強してからまた取り組めたらと思います。

『第45回 現代女流書100人展』が開催されます

「第45回 現代女流書100人展」が下記の通り開催されます。
清和書道会からは、小林清漣常任理事が出品されます。

会場:日本橋高島屋 8階ホール
    (最寄駅:銀座線/東西線/都営浅草線 日本橋駅)

会期:2014年5月8日(木)~5月12日(月)
    11:00~20:00(入場は19:30まで、最終日は17:30閉場)

主催:毎日新聞社

源氏物語絵巻特別展示@五島美術館

国宝「源氏物語絵巻」が、五島美術館で特別展示中です。

http://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html

国宝は一定の日数しか展示してはいけないという文部科学省が制定した決まりがあるため、4月5日から5月11日まで開催中の「春の優品展~歌・物語の世界~」期間中、4月29日から5月11日の間、13日間限定で展示されています。

http://www.gotoh-museum.or.jp/collection/genji.html

国宝「源氏物語絵巻」は現在、五島美術館と、愛知の徳川美術館が所蔵していますが、5年に一度、両美術館所蔵の絵巻が合同で展示されます。2015年は徳川美術館で、オリンピック開催の2020年には五島美術館で展示されるとのことです。

五島美術館所蔵の絵巻は、毎年GWのこの時期に五島美術館で展示されます。
現存する日本の絵巻の中で最も古い作品とされていて、年に一度、本物を目にすることにできる貴重な機会です。

『夕霧』
源氏物語

復元模写で大変著名な加藤純子先生による作品も、オリジナル作品の横に展示されています。
鮮やかな色彩が美しいです。

『復元模写夕霧』(加藤純子筆)
源氏物語模写

恋人からの手紙を読んでいると誤解し、嫉妬のあまり背後から忍び寄って手紙を奪おうとしている夕霧の妻、そして障子の蔭でこっそり聞き耳をたてている女房たちが描かれた場面です。

学芸員の方が面白いエピソードをお話して下さいました。数年前、この絵を結婚式場のバンプレットに使いたいというリクエストが実際に美術館に来たそうで、さすがに「結婚式にはふさわしくないです」と説明されたとのことでした。

源氏物語絵巻の他にも、栂尾切、高野切(第一種、第二種)、継色紙などのすばらしい書もたくさん展示されているので、ご興味ある方は来週日曜日までやっているのでぜひ出かけてみて下さい。



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清和書道会は、書道の研究と普及を目的として、昭和24年に書家の植村和堂によって創設された書道会です。清和書道会HPはこちら

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