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2017-11

秋の清和バス旅行~良寛をたずねて~

今年の清和のバス旅行は「良寛を訪ねる旅」となりました。東京から直接バスで新潟まで行くと往復に時間がかかり一泊二日では厳しいので、多少値段は張りますが、東京~新潟間は新幹線になりました。往復ともE4系の二階建て車両でした。

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1997年に東北新幹線でデビューした車両で、当時16両編成時の定員1634名は高速車両としては世界最大ともてはやされたのですが、東北新幹線が320キロにスピードアップした時に、鈍足のため上越新幹線へと追いやられ、平成20年には全廃される予定との事です。残念な気もしますが、一階席に座ると眼の位置が線路脇の障壁より低く、折角窓際の席に座ったのに、東京から新潟までずっと壁ばかり見て過ごし、これでは人気が出ないのも止むを得ないのかなと思いました。

東京駅発8時24分、新潟に着いたのは10時28分。駅前広場に「清和書道会様」という標識を掲げた中型バスが待っていました。

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駅からほんの5分ほどのドライブで新潟日報ビルに着き、ここの5階にある「会津八一記念館」を見学しました。

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会津八一は明治・大正期の文人で、名前は良く聞くのですが、正直詳しい事はここで初めて知りました。
明治14年新潟生まれ。地元の中学在学中から文学好きで良寛や正岡子規に親しみ、明治35年に上京。早稲田大学を卒業した後、一時地元の中学の英語教師。その後再び上京して、母校の早稲田大学で長らく教鞭をとっていましたが、空襲で家を失い新潟に疎開。戦後は夕刊新潟の社長に就任、文化振興に力を尽くしたということです。号は秋艸道人。歌人、書家、東洋美術史家。展示品は書簡が主でしたが、掛軸、扁額、良寛の肖像画、焼物なども並んでいて、多才ぶりをうかがい知ることが出来ました。

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佐渡汽船の船着場の食堂で箱弁を食べた後、良寛の里美術館に行きました。天衣無縫と称される良寛さん晩年の書が何点も展示されていてゆっくりと観賞できました。

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自由闊達この上ないのですが、読み難いことも半端ではなく、毎日展に出品したら誤字と判断されないかと余計な心配をしました。

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ここは国道116号線沿いの道の駅「良寛の里わしま」に隣接していて、良寛さんが晩年を過ごした木村家、和らぎの家、出逢いの庵、茶室指月亭、隆泉寺などなど所縁の建物が並んでいるのですが、どれが史跡でどれが観光用に後から作ったものなのか、もう一つよくわかりませんでした。

次に良寛記念館に行きました。こちらのほうは落ち着いた観光色の少ない普通の美術館でした。

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和堂先生も昭和45~6年頃ここを訪れていて、その感想を清和誌に次のように綴っています。
『良寛の生家、山本家の墓地の近くに建てられている。佐渡を目の前にした海岸の台地で、玄関と長廊と本屋からなり、簡素だが瀟洒な美しい建物である。この館の収蔵品は良寛の研究家で郷土史家でもある佐藤吉太郎翁が集められたものが主体となっている。一番興味を引いたのは弟の由之に宛てた手紙「人も三十四十を越えてはおとろへ行くものなれば・・・」という放蕩を戒めた文で、一行に五字から七字位の大きな字で、あまり続け書きにせず、字粒の揃った読み易い書きようで、二〇行程の良寛の手紙としてはかなりの長文である。』

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隣接する夕日の丘公園に行って、日本海と遥か海上に霞む佐渡島を望見し、記念写真を撮りました。東京を出発した時は雨でしたが、幸い日本海側は晴れていました。

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六時に岩室温泉に着き、「大橋館の湯」に投宿しました。温泉は硫黄の臭いがきつく、なめると塩っぱい味がしました。夕食後の宴会はカラオケで、久しぶりに昔々の会社の慰安旅行の雰囲気を体感しました。

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翌朝九時に旅館の人に見送られてバスで出発、30分ほどで国上寺に着きました。709年に建立された大層歴史のあるお寺で、当初は修験道でしたが、法相宗・天台宗・真言宗醍醐派を経て現在では真言宗に属しています。現在の本堂は四度目の再建で、国上寺の中興の祖といわれる万元和尚が再建したものです。
閑散とした淋しいお寺でしたが、渡り廊下の先にもう一つお堂があって、こちらの方は幟が立ち、脇に水子地蔵が立ち、庫裏にも繋がっていて多少賑やかでした。案内人にどちらが本当の國上寺なのかと聞いたら、両方国上寺だと言っていました。

淋しい國上寺
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多少華やかな國上寺
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万元が資金集めに奔走する間住んでいた庵が五合庵で、一日あたり米五合を給されたのが名前の由来とか。その後は住職が引退した後の隠居所に使われていましたが、良寛が住んだことで一躍有名になりました。良寛の歌によれば、屋根は「槇の板屋」、柱は「竹の柱」、入口には「菰すだれ」がかかっていました。

五合庵の周りをぐるぐる廻ってみると裏手に小さな池がありましたが、便所も炊事場も無く、随分と住みにくそうな庵だとの印象を受けました。炊事は托鉢に出ればやらなくて済むとして、トイレはそうもいかないので、外で用を足して池に流したのだろうかなどいろいろ憶測しました。しかし現在の五合庵は大正3年に再建されたレプリカで、昔は崖から流れ落ちる清水を利用し、別棟の便所があったそうです。県の文化財に指定されていますが、復元するなら正確にやってほしいものです。

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「いざここに 我が身は老いん
あしびきの 国上の山の 松の下庵」
「焚くほどは 風がもてくる落葉かな」

 國上ビジターサービスセンターの駐車場から國上寺間は尾根伝いの登り坂で、五合庵は別の尾根伝いに大分下ったところにあります。もう一度尾根伝いに登って戻らなくて良いように、谷を跨ぐ吊り橋が架かっていました。

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國上寺からバスで30分ほど走って弥彦神社に着きました。閑散としてひとけの無かった國上寺に比べて、越後一ノ宮の弥彦神社は頗る賑わっていて人も多く、参道の両側には土産物屋が軒を連ねていました。

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弥彦神社は万葉集にも歌われる古社で、祭神は天香山命、ご神体は標高六三四メートルの弥彦山で、大鳥居から遠望することができます。神社の境内からバスとロープウエーを乗り継いで山頂に登り、山頂のレストランで昼食にわっぱめしを食べました。

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弥彦神社から北陸自動車道と関越自動車道を通って2時間ほど走り、魚沼の近くにある西福寺開運堂へ行きました。西福寺は1534年開山の曹洞宗のお寺で、開山堂とは初代住職を祭る御堂のことです。このお堂は幕末の石川雲蝶による彫刻や絵画で有名で、道元禅師を題材にした作品が多くありました。

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テープレコーダーの解説に合わせて、案内人が該当する場所に懐中電灯の光を当てるといったスタイルで、堂内の天井に施された彫刻を細かく説明してくれました。

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堂内は写真撮影禁止なので、堂の外の彫刻を撮影しておきましたが、やはり外の彫刻は大分風化が進んで色はほとんど褪せていました。昔は村の若い衆が命綱を取って高い開山堂の屋根に上り、何度となく雪下ろしをしていたそうでが、平成11年に覆い屋根ができてその必要が無くなったとの事です。

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17時浦佐駅発のMAXとき334号に乗って無事帰りました。なかなか変化に富んだ楽しい旅行でした。行程中には結構坂道や石の階段が多く歩くのには苦労しましたが、皆さん頑張りました。

幹事さんご苦労様でした。
(植村 齊記)

『2018年 毎日新春チャリティ-書展 』が開催されます

『2018年 毎日新春チャリティ-書展』が、下記の通り開催されます。
当会からは、佐藤芙蓉副会長、楢原萠春副会長が出品されます。

会期 2018年1月4日(木)~9日(火)
   午前十時~午後六時
   (最終日は午後4時閉会)
会場 東京銀座画廊美術館8階
   中央区銀座2丁目7−18 銀座貿易ビル
主催 毎日新聞社、(財)毎日書道会 

2017年10月 事務局だより

【清和書展勉強会が開催されました】
10月1日、中央区産業会館で清和書展勉強会がありました。講師は楢原副会長と佐藤芙蓉副会長でした。
参加者は41名で、会場が広いので余裕をもって書くことができました。

会場は9時に開きますが、床が汚れないよう不織布を敷いたり、硯や文鎮を並べたりしなければならず、早く来た人にも手伝ってもらい、実際の練習は10時からになりました。午前中は各自自習で、講師による添削と指導は午後からでした。

まだ作品提出までに一か月あるとはいうものの、みな完成作品を作る意気込みで熱心に勉強しておりました。

【清和書展の出品者】
10月2日が清和書展の入金明細書の期限で、これにより出品者が確定しました。
第69回清和書展の出品者は一般210点、学生259点、U-23 8点、漢字かな交じり書35点でした これから学生部の審査、一般部の審査、会場のレイアウト、ワークショップの準備など、各担当の皆様方が忙しくなります。

(植村 正記)

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清和書道会は、書道の研究と普及を目的として、昭和24年に書家の植村和堂によって創設された書道会です。清和書道会HPはこちら

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