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2018-09

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日本民藝館「文字の美」展と、駒場東大前散策

「日本民藝館」で、3月22日まで「文字の美」展が開催中です。

http://www.mingeikan.or.jp/

「日本民藝館」は、井の頭線の駒場東大前駅から徒歩数分の場所にあります。
駒場東大前は渋谷からわずか2駅。
駅前には言わずと知れた東大がありますが、周辺はのどかな雰囲気の落ち着いたエリアです。

日本民藝館。
民藝館1

ネット検索していて偶然みつけた特別展のタイトルに惹かれ、初訪問。
今までこんなすてきな場所があることを知りませんでした。

和風建築の外観はもちろん、内観もすばらしいです。
木の温もりを大切にした和風建築独特の居心地のよさもさることながら、さりげなく置いてある家具や小物、展示方法などなど、何から何までセンスがよく、洗練された空気が広がっています。

入口正面の壁には、大きな漢時代の拓本が飾ってあります。
博物館で展示物を鑑賞するというよりは、展示物を身近に感じながら、空間そのものを楽しめる作りになっています。
民藝館3

古い学校の教室のような雰囲気の展示室。
民藝館4

木枠のガラスケースや磨かれた木の床にほっとします。
民藝館5

「日本民藝館」は、「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠地として、思想家の柳宗悦(1889-1961)により設立されました。

あまりにもすてきな場所だったので、もっと柳宗悦のことを知りたくなり、売店で売っていた『柳宗悦』(中見真理著/2013年岩波新書)を買ってみました。彼の活動を、多民族・多文化が共生する「複合の美の思想」という興味深い切り口で、わかりやすく書かれている本で、夢中で読破。途中、そうそう!と共感する部分が多く、自分が大切にしたいと思う芸術の方向性を考える上でとてもよい刺激を受けることができました。

宗悦の言葉より。美しい表現です。
「野に咲く多くの異なる花は野の美を傷めるであろうか。互いは互いを助けて世界を単調から複合の美に彩るのである」

「新奇なものを作ろうとするたくらみや、自分の名前を売り出そうとする作為から離れ、ひたすら実用に即したものを作ろうとするとき、材料がもっともよく活かされ、労働と美が結合し、優れた美が生まれる。そこには華美も他への威嚇もみられず、素直で親しみがもてる静寂な美が保たれている」


今回の特別展「文字の美」には、「既成の価値観、書道の習慣などに縛られず、柳宗悦自身が美しいと感じた文字を民藝館のために蒐集したもの」が展示されていて、通常の書道展などとは全く趣旨が異なり、とても感銘を受けました。

現在開催中の特別展「文字の美」の展示室。
民藝館5

文字がデザインされた日本の羽織や陣笠、皿、版木、和時計、花瓶などの他に、中国の拓本、韓国の文字絵、グレゴリオ聖歌の楽譜、イギリスの陶器などが展示されていました。コレクションのセンスも抜群です。

神秘思想を中心とした宗教研究、ウィリアム・ブレイクの先駆的研究、木喰仏の発見とその研究、沖縄方言論争、仏教美学樹立への挑戦等々…宗悦の多様な経歴を聞いて、コレクションの幅の広さと一貫性に納得。本当にわくわくします。

「水の字に魚」自在横木(囲炉裏で梁から吊るす自在鈎の部分) 飛騨地方 江戸時代
民藝館8

版木 江戸時代
民藝館9

中でも私が気に入ったのは、かなで書かれた般若心経。
民藝館7

おそらく平仮名しか知らない信者が、江戸期か明治以降あたりに書いたものと説明にはありました。
有名な書家や僧が書いたものではありませんが、強く心を打たれる書で、しばし見入ってしまいました。

こちらも無名の人が書いた室町時代の手紙。
民藝館10

高名な書き手の作品ではなくとも、どこか惹きつけられる温かさや味があります。
展覧会のためではなく、心の中から湧き出た感情や思いを自然と表現できる書が自分でも書けたらなぁと思います。

廊下のスペースもすてきです。
このベンチに座って、陽だまりの中、ずっと前の壁に飾ってある拓本を眺めている人がいました。
民藝館10

日本民藝館で貴重な時間を過ごした後、近所を散策に行きました。

近くには駒場公園があり、ここには旧前田侯爵邸があります。
駒場公園1

和館は工事中ですが、洋館は無料で入ることができ、カフェもあります。
駒場公園2

中はかなり広いスペースで、レセプションにぴったりです。
プロのケータリングやイベント会社と協働して企業や結婚式のレセプションに貸し出したらさぞかし人気が出るのではないでしょうか。

駒場公園3

重要文化財なので色々と規制があって難しいのかもしれませんが、例えばロンドンではカンパニーリバリーホールという同業組合の所有する歴史ある建物が多数残っていて、そこでは結婚式や会社のイベントなどが開催できるようになっています。歴史的建造物が地元住民の生活にとても身近なものとして活用されています。

http://www.liverycompanies.info/a-z-list-of-companies/livery-halls.html

私が以前勤めていた会社では、下記リンクの Merchant Taylors'で新しいトップの就任レセプションを開催したことがあります。ホールにはイベントを担当している部署があって、プロのケータリング会社や、契約しているフラワーアレンジメントのアーティストやフォトグラファー、ミュージシャンなどと一緒に相談をしながら、イベントを作っていくシステムができています。
http://www.mtaylorsevents.co.uk/the-rooms/the-great-hall

美術館や博物館もしかり。テートモダンのピカソやマティスの絵の前や、大英博物館の古代の遺物の前で、ワインを飲んだり、カナッペとシャンパンで談笑できるというすてきな機会を持つことも可能です。日本でも、公共のすばらしい施設がもっと住民の身近なものになったらいいのにとよく思います。

そして、もう一つ、侯爵邸で残念なのは、トイレにあった特大消臭力と、けばけばしい色のいわゆる懐かしの便所スリッパ。。。さりげないインテリアをトータルコーディネートしたらもっとすてきになるのに惜しいです。

侯爵邸の近くには、日本近代文学館もあります。

http://www.bungakukan.or.jp/

こちらでは現在、「近代文学の名作・大正」という展示会をやっています。
作家の手書きの原稿や、当時の本などが展示してあります。

デザインがとってもお洒落。
文学館2

若かりしころの谷崎潤一郎。けっこうイケメン。
文学館4

こちらにも面白いカフェがあります。コーヒーの名前には鴎外や、芥川など、作家の名前がついていて、壁一面に本がずらり。日本文学好きにはたまらないスペースです。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131801/13146659/

駒場東大前散策、なかなか密度の濃い時間が過ごせて、個人的にはかなりおすすめです。

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