2018-06

書つれづれ~落款印についてのデータとりまとめ~

毎月当会が発行している機関誌「清和」に、会長が「書つれづれ」というコラムを掲載しています。

機関誌せいわ

創始者の植村和堂先生亡き後に就任した現会長は理系出身。以前のブログでもご紹介したことがありますが、専門は応用物理学で、元は自動車会社のエンジニアでした。初代フェアレディZのエンジン開発を担当したことから、現在もスポーツカー関連の講演会に引っ張りだこです。
(ちなみに、昨年出版した本も好評で、現在在庫切れをしているようです)

http://seiwashodo.blog.fc2.com/blog-entry-96.html

また、会長は大の歴史好きです。「書つれづれ」では、豊富な歴史の知識や独自の理系目線を活かした、書にまつわるユニークなエッセイが綴られています。

書つれづれ2


先月のコラムは落款印について。ちょうど私も前回のブログで落款印について書いたばかりですが、例えば文系100%の私は展覧会で色々な作品の落款を見る時、どこに押したら面白いか、どんなデザインが好みに合うか、どんな色が好きかなど、主観的な見方ばかりについ関心がいってしまいますが、会長は、毎日展に出品された数百点の作品それぞれ「どこに」「いくつ」「どんな形の」落款印が押してあったかを部門別に数えて統計を取り、そのデータをまとめたものをコラムに書いています。

こういった視点も参考になって面白いので、ここにそのデータのみ抜粋してまとめたものをご紹介したいと思います。

【第65回毎日書道展出品作品の落款印について】

対象作品:審査会員以上
部門:漢字
点数:311点


白文印・主文印・関防(引首)印という3種類の落款を作法通りに押した作品…わずか5点(全体の1.6%)
白文印に関防印が4点、朱文印に関防印が3点、全部合わせても関防印のある作品はたったの12点(全体の3.8%)
→前年の第64回展では4%なので、関防印は減っている傾向。

関防印を省いた白文の角印 + 朱文の角印…61点(19.6%)

角印一個…219点(70.4%) うち、白文印は141点、朱文印は78点

丸印…9点
変形印…8点
ちなみに、丸印と変形印は朱文印の方が多く15点、白文2点。

落款なし…2点(前衛書)

対象作品:審査会員以上
部門:仮名
点数:166点


全作品、落款印は1個だけ。

角印…102点(61%)
うち朱文53点

丸印…20点(12%)
うち朱文16点

楕円形風の印…37点
洋梨形、卵形、そら豆形、滴流形、その他独創的な変形多数。うち、ほとんどが朱文。

コメント:落款印は最後に押すのが一般的だが、かな作品の場合、散らし書きをすると文末が左下にくるとは限らず、また作品効果を考慮し、文末から一寸離れたところに押したり、色々な工夫がなされている。

対象作品:審査会員以上
部門:近代詩文
点数:202点


全作品、落款印は一つだけ。

角印…176点(87%)
うち朱文85点、白文91点。

丸印…6点
矩形…5点
楕円…9点
変形印…5点

いかがですか?こうやって改めて数字で見ると、最近の傾向が分かってとても面白いですよね。作品制作の際、こういったデータも参考になるのではないでしょうか。

ちなみにひねくれものの私は、関防印を押す人がほとんどいない、もしくは落款を一つ以上押す人が少ないと聞いて、逆にトラディショナルなやり方で関防印の入った作品を作ってみたい!と思ったのでした。

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清和書道会は、書道の研究と普及を目的として、昭和24年に書家の植村和堂によって創設された書道会です。清和書道会HPはこちら

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